ふたり輝くとき
「ロラン、君はもう少し賢い人間だと思ってた。僕が風属性のクォーターだってことを忘れてたなんて、どうかしてるね。こんなバカに嵌められた僕も相当アホだけど……」

枷が光を跳ね返すというのなら、ユベールの奥深くに隠れる風属性を無理矢理呼び起こすのみ。そして、枷が外れた今、思う存分本来の力を使える――ユベールは呪文を唱えて光の剣を手にした。

「誰からがいい?」

ようやく、このときが来た。予定より少しばかり早まったけれど、もういいだろう。すべてを終わりにしよう。

剣を向けたとき、一番に食ってかかってきたのはダミアンだった。

「ユベール!お前はこの期に及んでまだ私を裏切るというのか!?」
「裏切る?僕はいつ、父上の味方だと言ったの?」
「わ、私はお前の父親だぞ!」

ああ……この男が一番愚かで、救いようがない人間だ。

ユベールは声を上げて笑い、まだ床に座り込んだままだったダミアンの足に剣を突き立てた。

「ぐあぁっ」
「父親面をするな」
「ユベール!きゃあっ――」

真っ青になったアンナがユベールの腕にしがみついたけれど、ユベールは気を放って母親の身体を吹き飛ばした。部屋の壁に叩きつけられ、アンナは苦しそうに呻く。

ユベールはダミアンの首を空いている手で掴んだ。みるみるうちに真っ赤になる父親の顔、そして、すぐに青く変わっていく。

「ユ、ベー……ル……ど、して」
「どうして?変なこと聞くんだね。貴女もまだ母親面するつもり?」

ユベールはダミアンの首を掴んでいた手を離し、短剣を作ってアンナに投げつけた。
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