ふたり輝くとき
ユベールは豪華な結婚式ができないと言っていたけれど、サラにとってそれは十分“豪華”な宴だった。

部屋の装飾から食事、ドレスやアクセサリーまですべてに眩暈がするほどのお金をかけていることがわかる。

招待客も、上流階級の貴族がおそらくほぼ全員集まっている。

皆、上質な衣装を身に纏い、それぞれ食事や会話を楽しんでいる。だが、その中で貴族の娘たちの視線は一様にサラに注がれていて……

サラは思わず俯いた。

自分は嫌われているのだろうか。それとも、これもサラの思い過ごし……？

「サラ、大丈夫？」
「あ……はい、ごめんなさい。たくさんの人がいて、お名前と顔を覚えるのが大変だなって……」

隣に座っていたユベールに声を掛けられて、咄嗟に笑みを返す。すると、ユベールはクスッと笑ってサラの手を取った。

「そうだね。でも、サラは覚えなくてもいいんだよ？」
「え、でも……」

それは相手に失礼であるし、将来王妃になるサラには必要なことだ。ユベールはきっとサラに気を遣ってそんな風に言ってくれているだけだろう。

サラの困った顔が面白いのか、ユベールはまだクスクスと笑っている。
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