ふたり輝くとき
そっとサラの目を覆っていた手を外すと、サラは放心状態でぼんやりと遠くを見つめていた。
力が抜けて座り込んだサラにもう1度密閉の呪文を掛けてユベールは振り向いた。
戦う意志がある者はもういないようだ。
致命傷を負わせたのはジャンだけだったが、動けない者が大半だ。倒れているか、怯えて座り込んでいるか。
アンナはかすかに胸が動いているようだが、助かるかどうかもわからないしどうでもいい。ロランも苦しそうに顔を歪め、意識を保つのがやっとの様子。
「ユ、ユベール。わ、わかった。国王の座は、か、変わらずお前に譲ろう。な?お、落ち着け」
「国王の座?僕はそんなものいらない」
ユベールは両手を合わせて光を集めていく。
「うんざりなんだ。僕を道具としてしか扱わない、この城の人間たちに。サラだけだ……僕を、“ユベール”として、王子として見てくれるのは。僕には、サラだけいてくれればいい。何もいらない。国王の座も、この国も、城も、王子という肩書きさえも!」
ユベールは大きくなった光の玉を頭上に掲げた。
「何にもいらない!!」
そう叫んだ瞬間、光の玉が弾けて部屋が真っ白になった。
これで、すべてが無に還る――
力が抜けて座り込んだサラにもう1度密閉の呪文を掛けてユベールは振り向いた。
戦う意志がある者はもういないようだ。
致命傷を負わせたのはジャンだけだったが、動けない者が大半だ。倒れているか、怯えて座り込んでいるか。
アンナはかすかに胸が動いているようだが、助かるかどうかもわからないしどうでもいい。ロランも苦しそうに顔を歪め、意識を保つのがやっとの様子。
「ユ、ユベール。わ、わかった。国王の座は、か、変わらずお前に譲ろう。な?お、落ち着け」
「国王の座?僕はそんなものいらない」
ユベールは両手を合わせて光を集めていく。
「うんざりなんだ。僕を道具としてしか扱わない、この城の人間たちに。サラだけだ……僕を、“ユベール”として、王子として見てくれるのは。僕には、サラだけいてくれればいい。何もいらない。国王の座も、この国も、城も、王子という肩書きさえも!」
ユベールは大きくなった光の玉を頭上に掲げた。
「何にもいらない!!」
そう叫んだ瞬間、光の玉が弾けて部屋が真っ白になった。
これで、すべてが無に還る――