ふたり輝くとき
けれど、ユベールの望んだことは起こらなかった。
ゆっくりとその光は1枚の鏡に吸い込まれていった。それを持っていたのは――
「クロヴィス……」
ユベールが小さく呟くと、クロヴィスは大きく息を吐いて床に膝をついた。その服は彼らしくなく乱れてボロボロで、眼鏡も曲がっている。
「まったく……貴方という人は、本当に…………っ、世話が、焼けますね」
クロヴィスは呼吸を整えながら壊れた眼鏡を指で押し上げた。
「な、んで――っ!なんで邪魔する!?」
ユベールはクロヴィスに近づいて、胸倉を掴んだ。クロヴィスは曲がった眼鏡のレンズの奥、その冷静な瞳でユベールを映す。
「この前は来なかったくせに!どうして、今止めるの!?今はそのときじゃな――」
『ホントにそう思ってるの?』
ユベールの言葉を遮って響いた聞きなれない声に、ユベールはクロヴィスを殴ろうとしていた手を止めた。
『ユベール。サラを自分の腕の中に閉じ込めておきたいのなら、ちゃんと彼女のことを見ていてあげなきゃダメだ。サラを独占したいのなら彼女のことを一番に考えなきゃいけない。君が彼女の希望を聞いてあげなければ、彼女を支えてあげなければ、君のわがままは通らない』
その声に、ユベールがサラへ視線を向けると……
サラは静かに泣いていて、溢れる涙を小さな手で一生懸命に拭っていた。
ゆっくりとその光は1枚の鏡に吸い込まれていった。それを持っていたのは――
「クロヴィス……」
ユベールが小さく呟くと、クロヴィスは大きく息を吐いて床に膝をついた。その服は彼らしくなく乱れてボロボロで、眼鏡も曲がっている。
「まったく……貴方という人は、本当に…………っ、世話が、焼けますね」
クロヴィスは呼吸を整えながら壊れた眼鏡を指で押し上げた。
「な、んで――っ!なんで邪魔する!?」
ユベールはクロヴィスに近づいて、胸倉を掴んだ。クロヴィスは曲がった眼鏡のレンズの奥、その冷静な瞳でユベールを映す。
「この前は来なかったくせに!どうして、今止めるの!?今はそのときじゃな――」
『ホントにそう思ってるの?』
ユベールの言葉を遮って響いた聞きなれない声に、ユベールはクロヴィスを殴ろうとしていた手を止めた。
『ユベール。サラを自分の腕の中に閉じ込めておきたいのなら、ちゃんと彼女のことを見ていてあげなきゃダメだ。サラを独占したいのなら彼女のことを一番に考えなきゃいけない。君が彼女の希望を聞いてあげなければ、彼女を支えてあげなければ、君のわがままは通らない』
その声に、ユベールがサラへ視線を向けると……
サラは静かに泣いていて、溢れる涙を小さな手で一生懸命に拭っていた。