ふたり輝くとき
「ごめん。もう泣かないで?サラは綺麗なままだよ。だから、泣かないで」

こんな風に、簡単に罪悪感に支配されてしまうサラの心は輝いたままだとユベールは思った。

『ユベール。君は、もう少し感情を抑えることを覚えないとね』
「……っ、…………わかってる……」

サラの光が曇らないことを望むのなら、ユベール自身が行動を改めなければならない。ユベールはサラを強く抱き寄せて首筋に頬を寄せた。

『さて……クロヴィス、動ける?まったく、君にももう少し戦闘能力があればねぇ』

呆れたように響く声。ユベールがクロヴィスの方を見ると、彼は特に普段と変わらない口調でその声に答えていく。

「私はただの側近です。たとえ貴方の血を引いていようとも、1度失われた力は戻らないのですよ」

ゆっくりと立ち上がり、服の裾を叩いて汚れを落としてからクロヴィスは部屋を見渡して大きなため息をついた。

「私は戦闘要員でもなければ、清掃係でもないのですけれど」

そう言いつつも、呪文を唱え始めたクロヴィスによって、謁見の間は少しずつ本来の姿へと戻っていった。
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