ふたり輝くとき
「ユベール様、サラ様、ご結婚おめでとうございます」

そのとき、1人の女性がサラたちのテーブルにやってきて挨拶をした。サラが顔を上げると、妖艶な笑みを浮かべてサラを見つめる瞳があった。しかしやはりその目はサラを“邪魔”だと言っている。

「やぁ、アドリーヌ。来てくれてありがとう」
「ありがとうございます」

アドリーヌと呼ばれた女性と親しい様子のユベールにチクリ、と胸が痛む。

「ユベール様はまだご結婚なさらないと思っていましたのに……」

そう言って、サラの全身を見ようとするかのように視線を落としていくアドリーヌ。サラはテーブルの下でギュッとドレスを握った。

「早く、跡継ぎが欲しくなったのかしら?」

アドリーヌが自分の胸元をゆっくりと指でなぞりながら聞く。その豊満な膨らみを見て欲しいと言わんばかりに……

彼女は側室の座を狙っているのだ。これほどにアピールされれば、サラでも理解できる。アドリーヌは自分がユベールの子供を産む、とサラに言っている。

そういえば、自分のことで精一杯で考えていなかった。ルミエール王国では、国王または王子は正室1人と側室を好きなだけ持つことができる。ユベールには側室はいないはずだが、それがこれからも持たないという意味ではない。

「まぁ、そのうちね」

ユベールは笑って立ち上がった。

「アドリーヌ、僕たちそろそろダンス用の衣装に着替えなきゃいけないんだ。だから、またね?」
「ええ、それではまた」

優雅にお辞儀をすると、アドリーヌは勝ち誇ったような笑顔をサラに向けて会場の人ごみへと消えていった。
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