ふたり輝くとき
――サラがユベールのベッドで静かに寝息を立てている。

ユベールは指を絡めてサラの手を握っていた。

サラ女王がチャクラを吸収していった後、漏れていた気で傷ついた身体のトラッタメントはクラドールにさせた。

サラ女王は自分の役目が終わると、「忙しいのよ」なんて行ってすぐに呪文を解いて帰ってしまった。

「君は忙しくないの?」

ユベールがクロヴィスに向かって言う。だが、話を振っているのはユベール国王にである。

『あぁ、僕は病床なの。暇過ぎちゃうくらいだね』

クスクスと笑いながら答えたユベール国王。ユベールはため息をついた。

「そんなんだから、クーデターなんか起こったんじゃないの?ていうか、病気ならクーデター起こすまでもないじゃん。すぐ死ぬんでしょ?」
『ははっ、まぁね。でも、正確にはクーデターは僕の代で起こったわけじゃないんだよ』

ユベールの発言を笑った後、ユベール国王は説明を始めた。

『今、国を動かしているのは僕の息子なんだけど、クーデターが起こるのは僕が死んだ後。彼の代でだ』

彼はまだユベール国王の代理として政治を仕切っている。国王には即位していない。そして、ユベール国王が病で亡くなって数日――王位継承の儀が行われる前に政権をとられてしまったのだ。

『だから、まぁ……記録では僕がクーデターで殺されたことになっていて、第15代国王に政権が移っている。ロランの持っていた手錠を使われたのはたぶん僕の息子の方だね』

ロランはそれをユベール国王に効いたのならば、と持ち出したのだろう。
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