ふたり輝くとき
『僕の息子は……力、という点では優秀とは言い難い。あの枷を使うまでもなかったと思うけど』

フッと、ユベール国王が寂しそうに笑った。

『僕がこの時代に飛んできているのは王としての責任を感じているからだよ。君たちを生み出してしまったのは、僕の不注意のせいだ』

ユベールはクロヴィスを射抜くような眼差しで見る。ユベール国王はクロヴィスを介しているわけだから仕方がないのだけれど、クロヴィスは自分を責めるようなその視線にため息をつかずにはいられない。

『僕、最初は結構危ない状態だったんだ。今はそれなりに回復しているんだけど、一時的にだと思う。君の言う通り、僕の人生はもう長くないらしい』

力を持っていても、結局は人間。

『薬や呪文もこの時代に比べたら少ないんだよ。未来を覗くことはできても、そういう未来に発達した技術は持って帰れない』

そもそも、歴史を変えてしまうことは禁忌である。

『で、最近やっとチャクラを少しずつ盗まれていたことに気づいてさ。でも、僕はもう彼らの監視下にある。病気のせいでうまくチャクラを練れないし、この時代で出来ることは限られているんだ』

だから星の呪文で自分が残してしまうであろう“負の遺産”を回収している。そして、いろいろと調べていくうちに、クロヴィスへと辿り着いた。

『偉大な国王だなんて名は残っているみたいだけど、所詮こんなものだよ。君たちの苦しみ……いや、殺された人間もいれたら何人もの犠牲を出した』

ユベール国王は悲しみを帯びた声を出し、少し黙り込んだ。
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