ふたり輝くとき
『歴史は破壊と創造によって作られてきた。君はその“革命”を起こそうとしていたんだよ。ねぇ……勝った方が正義だ、って言うでしょ?この城の欲を排した君は勝者だ。都合の良いように記録を残せば良い』
「…………」

ユベールは答えなかった。

勝者――クロヴィスとユベール国王にお膳立てされた、正義。

『考え過ぎもやめた方がいい。流れのままに、思うままに……生きればいい。君はもう力を持つ意味を見つけたでしょ?』
「ははっ……ホント、ムカつく」

ユベールはくしゃりと自分の前髪を掴んで俯いた。自分がサラと巡り合った――導かれた――理由を、理解して。

どこまでも、自分の気持ちはお見通しというわけだ。

「わかったよ。最後まで、君たちの望むように演じてあげる」

そんな風に強がってみたけれど。

それは、ユベール自身が望むこと――本当にすべてが終わるのだ。
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