ふたり輝くとき

闇を捨てて

翌日、サラはユベールの腕の中で目を覚ました。ギュッと、見た目とは違う彼の逞しい腕が温かくサラの身体に絡まって、ユベールの体温がダイレクトに伝わってくる。

熱も下がっているし、身体が軽い。呪文は使えなくなっているのだろうけれど、とてもスッキリした気分だ。

「起きた?」
「あ……」

そっと顔を上げると、ユベールが優しく微笑んでサラを見つめていた。サラは小さく「はい」と返事をしてユベールの胸に顔を押し付けた。同じベッドで寝ていたことがとても恥ずかしい。

「なんで隠すの?」
「あ、あのっ!は、恥ずかしいですからっ」

早口でそう言うと、クスッという笑い声が頭の上で聴こえて。更に身体を引き寄せられて耳元でユベールが囁いた。

「僕、もうサラの全部知ってるよ?それとも……そのことを思い出して恥ずかしい?」
「ひゃっ!ユ、ユベール様!」

スルリとサラの寝間着の裾からユベールの熱い手が滑り込んできて、サラは身体を捩った。だが、ユベールはそんな抵抗などお構いなしにサラの首筋にたくさんのキスを落としていく。

気がつけば、ユベールがサラに覆いかぶさる体勢になっていて“おはようのキス”にしては刺激的なそれを交わす。

「はぁっ……」

唇が解放されたかと思えば、上着が捲くられてお腹にチュッとキスを落とされた。そのまま、ユベールの唇が上へと滑り、同時にサラの白い肌が晒されていく。

「や、ユベール様っ、寒いです、からっ」

窓は開いていないけれど、朝の冷たい空気にサラは少し震えてユベールの肩を掴んだ。
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