ふたり輝くとき
そして2週間後――王位継承の儀が予定されていたその日。

ユベールとサラは再び謁見の間へと戻ってきた。先日と違うのは、ユベールとサラが手をとりあって用意された2つの椅子に座っていることと、縛られて中央に立つのが、ロランとアドリーヌだということ。

ダミアンとアンナは王座の横、何段か下がった場所にそれぞれ座り、大臣たちは左右にわかれて並んでいる。

「――と、いうことです」

クロヴィスがすべての事の顛末を話し終え、チラリとユベールに視線を向けてくる。

ロランに命令されて、ジュストの部屋に残っていたユベール国王とサラ女王のチャクラを騒動に紛れて回収しようとしたアドリーヌは、先回りしていたクロヴィスに捕えられ――クロヴィスが負傷していたのはその際にかなり抵抗されたからだそうだ――自白した。

クロヴィス曰く、すべてを話せば責任はアドリーヌのみに問い、ルミエールの後宮に入れてやる――事実上、監視下に置くということだけれど――という“欲”に堕ちた。

それでもサラは家族を守る選択をしたアドリーヌは正しいと言った。そうでなければ、一族はルミエールから追放されてしまう。“追放”――その意味も、理解できるようになったはずなのに、やはり彼女の輝きは変わらない。

ロランは認めようとはしないけれど、ジュストの部屋にあった枷を持ち出したり、アドリーヌに変化の術を強要したために彼女の自白を促してしまったり、少しずつボロが出ているわけだ。

アドリーヌはロランのアリバイを作るために、また“秘薬”を飲まされたのだ。それが寿命を縮める行為だと理解しているアドリーヌは、早々に後宮での地位を確立しなければならなくなったわけで。

「ダミアン様は王位をユベール様に譲るとおっしゃっておられます。反対される方は?」

しん、と静まりかえった謁見の間。ユベールはアドリーヌが口元を緩めたのを見逃さなかった。まだ自分に可能性があると思えるその精神を、呆れるのを通り越して尊敬してやろうかと思う。
< 211 / 273 >

この作品をシェア

pagetop