ふたり輝くとき
サラの頬がほんのりと桃色に染まる頃、ユベールはそっとサラの膝の上の手に自分のそれを重ねた。

「ひゃっ――」

ユベールが触れた瞬間、サラがビクリと身体を跳ねさせた。

「サラ?どうしたの?」

緩みそうになる口元を引き締めながら、サラの顔を覗き込むとサラの瞳が潤んでいる。

「顔、赤い……具合悪い?」
「――っ」

頬に手を当てれば、またサラはピクッと震えた。ユベールはわざとその手をゆっくり滑らせた。

頬から唇へ、唇から首筋を伝って、鎖骨で止める。

「ユベール様……」
「ん、なあに?」

熱い吐息とともに名前を呼ばれてユベールはゾクっとした。こんなにも、甘えた声を出すサラは初めてかもしれない。

「い、いえ……あのっ」

サラ自身、自分から漏れた声の響きに戸惑ったらしく、パッと口元を手で押さえて視線を逸らした。
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