ふたり輝くとき
ユベールはそっとサラから離れ、彼女と向き合った。

サラがゴクリと唾を飲み込む。

「どうしたの、サラ?“イヤ”なんでしょ?」
「そ、それは――っ」

サラの瞳から今にも零れ落ちそうな涙。薄っすらと開いた唇からは、戸惑いとユベールを求める熱が漏れてくる。

ユベールは何も言わず、じっとサラを見つめた。

サラから……求めさせたくて。

「わ、私……な、んだか、変、で……」

媚薬を使われたなど知る由もないサラは、ユベールに助けを求めるような瞳を向けた。

ゾクリ、とする。

「うん。だから、なあに?ちゃんと言わないと……わからないよ?」

今すぐ押し倒してしまいたい衝動を抑えてユベールはサラの髪をそっと梳いた。それだけで、サラがビクッとする。
< 232 / 273 >

この作品をシェア

pagetop