ふたり輝くとき
カーテンの隙間から薄く差し込む太陽の光でサラが目を開けると、ユベールの胸板が視界を覆っていた。

サラはゆっくりと身体を動かしてユベールの腕から抜け出そうとする。

いつもなら朝方にはユベールの腕が緩んでいて彼を起こさずにベッドから抜け出せるのだけれど、今日はまだ強く抱きしめられているようだ。

「ん、サラ……だめ…………」

ユベールが掠れた声を出し、サラは少し驚いて顔を上げた。ユベールは目を瞑ったままサラを元の位置に戻す。

「置いてかないで……って、言った……でしょ」

ユベールはサラの頭を抱え込むようにして肌を密着させた。

そういえば、昨夜、肌を重ねたあとまどろみながら、ユベールが「明日の朝は起きちゃダメ」と言っていたのを思い出す。

いつもユベールを置いてサラが起きてしまうのが嫌なのだとか。

「でも、朝食の準備が……」
「んー……そんなの、いい……から…………」

そう眠たそうな声で言って、ユベールはシーツを引き上げてサラを閉じ込めるようにした。そしてまた、静かに寝息を立て始める。

サラはクスッと笑ってしばらくユベールの寝顔を見ていた。
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