ふたり輝くとき
小さいながら賑わう町の通りは食品から服飾まで様々な店が立ち並ぶ。

ウキウキとサラの手を引いていくユベールは、迷うことなく宝石商へと入っていった。

いつか初めてユベールとデートをしたときもこんな風に強引に連れ出された気がする。けれど、サラはあのときとはちょっと違うのだ。

彼のストレートな愛情表現に慣れない部分はあるが、今はユベールにきちんと自分の思いを話すこともできるし、彼を近くに感じている。

“憧れの王子様”ではなく、本物の……ちょっとイジワルなサラの旦那様。

「あ、ねぇこれは?前のやつにも似てるし」

そう言ってユベールが指差したのは、彼の言う通り以前もらったものと同じ琥珀の石がついている上品なデザインのブレスレットだった。

小さい琥珀がいくつか散りばめられ、チェーンも細く、輝いているそれはサラの好みもバッチリおさえている。

「ユベール様、ダメですよ!」

思わず見惚れてしまったサラはハッとして首を振った。
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