ふたり輝くとき
「無駄遣いはダメって昨日も言ったじゃないですか」

ユベールは買い物に来る度に、サラに新しい洋服や髪飾りを買いたがる。まぁ、サラが彼の説得に成功したことはなく、家のクローゼットはすでに溢れかえらんばかりの勢いなのだけれど。

「何言ってるの！無駄じゃないよ」

というのが、ユベールのお決まりの台詞。

曰く――

「サラには僕が選んだものを身につけて欲しいの。サラは僕の可愛いお嫁さんで、お姫様なんだから！サラをもっと可愛くできるのは僕だけなの！」

大きな声でそう言い切ったユベール。そして毎回、サラはここで顔が燃えてしまいそうなほどに火照る。

そんな様子を見ていた店主がクスクスと笑ってサラたちのもとへ近づいてくる。

「いい旦那様じゃないの。遠慮なんかしてないで、甘えなさいな、可愛いお嫁さん」
「そうだよ、サラ。おばさん、じゃあこれつけていくからね？」

そして今日も、サラはユベールに完敗するのだ。
< 242 / 273 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop