ふたり輝くとき
「それに、これは必要なものなの。無駄遣いには入らないよ」

ユベールは嬉しそうに言って、サラの手を取った。サラはそんなユベールを見て、ギュッと胸を掴まれた気がした。

ユベールは、文字通りサラと離れたがらなくて、サラの身体に消えることなく咲き続ける華も彼の寂しさを表しているのではないかと感じている。

王子として――創られた者として――存在しているという認識の強かったユベールは、“何か”がなければ自分の隣に誰もいてくれないと思っているのかもしれない。

皆がユベールに“力”を求めて群がっていたように……

「ユベール様……」

サラは泣きそうになるのを誤魔化すためにユベールの胸に顔を埋めた。

「サラ、どうして泣くの?」

けれど、やっぱりユベールはそれに気づいて。ならば……サラの気持ちも、わかって欲しい。

「……私、何もなくても、ユベール様と一緒にいますよ?」

ギュッとユベールの背中に回した腕に力を込めると、ユベールの身体は少し強張った気がした。

「ユベール様が好きだから。他に理由なんてないんです。出て行けって言われても、一緒にいたいって思います」
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