ふたり輝くとき
「んん……サラ…………ん、あれ?」

ユベールはぎゅーっと腕の中にいるサラを抱きしめようとしてパチリと目を開けた。なぜなら、サラのことを抱きしめることができたからだ。いつもはもぬけの殻であるユベールの隣にサラがすやすやと眠り続けたまま。

なんと珍しいこともあるものだ。

何度も先に起きるなと言っているのはユベールなのだけれど、実際にそうなるとなんだか拍子抜けしてしまう。

「サラ?」
「ん……ユベール、様?」

ユベールがサラの頬を撫でると、サラは掠れた声でユベールを呼び、ぼんやりとした瞳でユベールを映した。

「あれ……?あ、ごめんなさい。すぐに朝食の仕度をしますから」

サラは慌てて身体を起こしてベッドから抜け出した。

ユベールはそこで、サラも自分も寝間着を身につけていることに気づく。そして、昨日は少し体調が悪いと言ってサラと肌を重ねずに早く眠りについたのだったと思い出した。

「待って、サラ。体調はもう大丈夫なの?」
「えっと、大丈夫……みたいです」

サラはちょっと考えてから首を傾げた。

「それならいいけど……僕も手伝うよ」

顔色も悪くはないし、よく眠って回復したのだろうか。とりあえず、ユベールもベッドを降りてサラとキッチンに向かった。
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