ふたり輝くとき
「ユベール様……もっと、撫でてください」
「それは、いいけど……」

ユベールはサラの頭をそっと撫で、肩や背中、腕も……優しく擦り続けた。

そうしているうちに、サラは静かに寝息を立て始めて。

ユベールはサラを起こさないように抱き上げて寝室のベッドに寝かせた。

夕食も食べないままに寝てしまうなんて、やはり具合が悪いのではないだろうか。

眩しくて、チクチクして……

風邪とは違うだろうし、何か変な病にでもかかったのだろうか?

だが、感染するとすればたまに出かける町でということになるが、最近流行り病の噂もないし、増してこの周辺には人などほとんどいない。ユベールは至って健康である。

それに、サラの身体から異常な部分は取り除いたはずで、サラ女王も大丈夫だと言った。あの後診察させたクラドールも他に特に問題はないと言っていたから、そういった原因も可能性は低いと考えてよい。

ならば、なぜ……?

本当は今すぐに診療所へ連れて行きたいが、ぐっすり眠っているサラを起こすのも気が引ける。ユベールが抱えていくにしてもかなり距離があるし、すでに暗くなっているから足元も危ないだろう。

やはり明日、診療所へ連れて行こう。

ぐっすりと深い眠りについているらしいサラの寝顔を見つめながらいろいろなことを考えているうちに、ユベールも夢の世界へと誘われていった。
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