ふたり輝くとき
「ぱぱ!」
「ぐ――っ」

ドスッとお腹に重力がかかる。

目を開かなくてもわかる。突撃してきたのはマノンだ。

ふぅっと息を吐いてユベールは目を開けた。すると、父親が目覚めたことで満足したらしいマノンはニッと歯を見せて笑う。

2歳になった子供たちはやたら早起きで、最近はマノンがユベールを激しく起こすことを日課とし始めた。

「おはよ!」
「おはよ……」

いくら可愛い娘に起こされるとはいっても、低血圧のユベールにはつらい。

「あのね……そうやって僕を起こすの、やめてって何度も言ってるでしょ?」
「うん!」

元気良く返事をしたマノンは絶対にユベールの言っていることを理解していない。

「はぁ……ほら、もう降りてよ。起きるから」
「うん!」

マノンはまた大きな声で返事をしてユベールの脇へと身体を転がした。ユベールは髪をかきあげて綺麗に畳まれたパジャマを羽織る。

「ぱぱ」
「なに?」
「いつも、はたか」

そりゃ、夜はママと君たちに言えないような時間を過ごすから――なんて言ったら、サラは顔を真っ赤にして怒るだろう。

それも楽しそうだけれど……ユベールは「僕は暑がりなの」と言ってマノンをひょいっと抱き上げた。
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