ふたり輝くとき
ダイニングではディオンが子供用の椅子にチョコンと座っていて、サラがキッチンとダイニングを往復して朝食をテーブルに並べる様子をじっと見つめていた。

双子なのに、こんなに違うものなのだろうか?

差をつけて育てているつもりもないが……やはり、ユベールの第一印象が悪かったのかもしれない。しかし、それすらディオンが生まれる前の話で……

(根に持つタイプ?)

そんなことを考えながら、マノンをディオンの隣の椅子に座らせて自分も椅子に腰を下ろした。

「サラ、おはよ」
「おはようございます。マノン、パパを起こしてくれてありがとう」
「うん!」

マノンはニッとサラに向かって笑う。自分の武器をちゃんとわかっている――愛くるしい笑顔がクリティカルヒットした経験はユベールにも何度もある。

「ディオンも、おはよ」
「……おはよ」

ディオンは自分に話しかけるユベールをじっと見つめてから、小さく呟くように挨拶を返してくる。

サラが席についたところで、みんなで朝食を食べ始める。

「まま、いちこ」
「まのんも!」
「苺?はい、どうぞ」

ディオンが催促すればマノンもサラに向かって手を差し出す。サラはクスッと笑ってディオンとマノン、それぞれの小さな手に苺を一粒ずつ置いた。

マノンとディオンが加わるようになってから随分経つが、賑やかな食卓はユベールにとって新鮮なものだ。
< 265 / 273 >

この作品をシェア

pagetop