ふたり輝くとき
ユベールは驚きと少しの戸惑い、そしてディオンを抱きかかえながらディオンの頭を撫でた。

「マノン、ディオンが描いた絵を勝手に変えたらダメなんだよ」
「だってぇぇぇ、うぁぁぁぁ!ままー」

その一言で、サラは何があったのか大方理解したらしく、しゃがみこんでマノンと視線を合わせた。

「マノン、ディオンの絵を変えたの?」
「うぇっ、いもーろ、やらぁぁぁあ」
「いもーと!」

そのマノンの言葉にディオンが泣きながら叫ぶ。

双子の間では、なぜか赤ちゃんが妹と弟かという争いがあるらしい。

「マノンは弟が欲しいのよね」
「ひっく、うん……まのん、おとーろ」

サラがマノンの頭を撫でて言う。

「でも、ディオンが一生懸命描いた絵を変えたらダメなのよ。マノンもディオンが絵を変えちゃったら嫌でしょう?」
「んぅー!」

マノンは唇を尖らせて涙を拭った。

「ディオンに“ごめんね”は?」
「……や!」

マノンはバチッと光を放ってドタドタとリビングを出て行ってしまった。サラは眉を下げてユベールを見た。

ユベールも首を振って苦笑した。

ああなると、マノンはしばらくご機嫌が直らない。
< 270 / 273 >

この作品をシェア

pagetop