ふたり輝くとき
「ディオンは妹が欲しいの?」
「うん」

一方で、少し落ち着いてきたディオンはユベールのシャツでぐしぐしと顔を拭き……ユベールの問いに頷いた。

「マノンがいるじゃない」

まぁ……双子だと弟とか妹という感覚とは少し違うのかもしれないが。

「ちっちゃいいもーと」

潤んだ瞳でユベールを見上げてくるディオンはじっとユベールと視線を合わせて。

「くる?」
「来るって言われても……僕、君たちで手一杯なんだけど」

それに、これ以上サラを取られたくないというのも……

というのは口に出さないが、チラッとサラの方を見ると笑われたのでおそらくユベールの思考は筒抜けだ。なんだか悔しい。

「こない?」

うるっと琥珀色が揺れる。ディオンは涙を武器にするつもりなのだろうか?

「君たちがいい子にしてれば……来る、かも」

苦し紛れにそう答えるとディオンはニッとして新しい画用紙を引き寄せて、また熱心に絵を書き始めた。

なんというか、忙しい子……いや、気まぐれ?
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