ふたり輝くとき
「それに、レオはそんな簡単に戦争に踏み切れる奴じゃない。せいぜい自力で奪い返しにくる程度だ。甘いんだよ、ヴィエントの国王様は」

ユベールはため息をついた。

リアが王妃となったら、彼女が攫われたということを国民たちにも隠し通せないだろうし、レオも国王として彼らの世論を飲まなければならない。

だが、婚約者なら……

「ユベール様こそ、レオ様を甘く見られております。“2度目”は見逃してもらえないとお思いになってください」

クロヴィスはスッと眼鏡の奥で目を細めてユベールに厳しい視線を向けた。

2度目――ユベールは1度、リアを連れ去る手助けをしている。ヴィエント王家への復讐をしたいと思っていた従兄弟、エンツォを手伝って。

従兄弟、と言っても表向きの話ではあるのだが、エンツォはレオの大切な人を壊したいと願った。要はリアを手に入れたいユベールと利害が一致した。だから、ユベールの方から近づいたのだ。

壊して、直して、手に入れる。シンプルな話だったはずなのに。

「エンツォも役に立たなかったなぁ……」

ユベールは天井を仰いで髪の毛をくるくると指でもてあそぶ。茶色いくせっ毛がふわふわと指に絡み付いてくる。

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