ふたり輝くとき
「ルミエールがクラドールを集めるのは、争いが多いせいだと思われてるけど……本当はジュストを目覚めさせようと父上が躍起になってるからだ」

ロランとユベールとジュスト。

正妃と側室と国王。

それぞれがそれぞれの王子を国王の座に就かせて権力を奪いたい、持ち続けたい。

「皆、自分が権力を持つことしか考えてない。それに使われてるのが僕らってわけ」

ユベールは乾いた笑いを漏らしてそう言いながら、サラいるベッドの上に戻ってきた。また、向かい合って座る。

「私に、やってもらいたいこと……とは、何ですか?」

震える声で、ようやくそれだけ聞くことができた。ユベールを殺すかもしれない妻を、そのまま生かしておく意味。

「僕のシナリオはね、王位継承の儀がラストシーンなんだ。そこで、君に……すべてを壊して欲しい」

ユベールの瞳に、大きな影が映った気がした。

「それは――っ」

“どういう意味ですか”というサラの問いは、言葉にできなかった。サラの唇にユベールの人差し指が当てられたから。

「お喋りは終わり」

そう言って、ユベールはニッコリと笑った。
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