ふたり輝くとき
それから、サラはいつもの侍女たちに湯浴みと着替えを手伝ってもらった。彼女たちは今朝の2人に無理矢理仕事の担当を変えられたと文句を言っていた。

身支度を終えて部屋へと戻ると、クロヴィスが朝食を用意してくれていてサラは慌てた。

「あ、あの、どうしてクロヴィスさんが……」

彼は本来、国王側近という立場のはずだ。こんなことをやらせるのは気が引ける。

「さぁ、お座りになってください。すぐに紅茶をお淹れします」

この側近も……サラとは“会話”をしてくれないのだろうか。ため息をついて椅子に座る。

すぐに熱い紅茶が出され、サラは食事を始めた。

窓は、今はきちんと閉められていて部屋の中も暖かい。

キッチリと閉まってレースのカーテンが引かれたそれを見つめて、ため息をついた。

侍女はどうして自分に……

「貴女がユベール様の正室となったから、ですよ」
「え……?」

サラは、考えていたことを口に出しただろうか?

「昨夜、ユベール様からお聞きになったのではないですか?この城の、本当の姿がどんなものなのかを」

クロヴィスはクイッと指で眼鏡の位置を直した。
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