ふたり輝くとき
クロヴィスはそんなユベールを見てそっとため息をついた。

この王子は自由すぎて困る。今回のことも、なかなか現国王ダミアンの許可が下りずにもたついてしまったけれど、クロヴィスは随分前からユベールの行動を把握していた。

「それで?」

ふと、ユベールが視線をクロヴィスに戻して先を促す。自由奔放でいい年をして軽い口調の割に、さすが第一王子としてやっているだけはあるというべきか……察しは良い。

クロヴィスがユベールを迎えに行ったのは――いや、ダミアンの許可がようやく下りた理由は――今夜の宴のため。

「はい。今夜、サラ・ロッセル様がルミエール城へいらっしゃいます」
「あぁ、そういえば今夜だったっけ」

ユベールは立ち上がると部屋を出て行こうとする。

「よろしいのですか?」
「良いも何も……父上の決めたことに逆らえると思うの?」

そういうわけではない。いや、ユベールが意図的に逆らわずにいることをクロヴィスは知っている。それに、今回の場合はユベールもサラを自分の妻として迎え入れることを“利益がある”と判断した。

クロヴィスは「失礼致しました」と言って手を振りながら歩いていくユベールを見つめた。

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