ふたり輝くとき
「残酷なことを申し上げますが……お許しを」

クロヴィスは一応断ってから続きを話し始める。

「アンナ様がダミアン様に気に入られているのは、“相性”がよろしいからでございます。意味は、おわかりになりますか?」
「……」

サラが目を伏せる。それが、答え。

「そして、彼女をそばに置いておけば、ジュスト様が目覚めない場合にユベール様を国王に据えることが容易だからです」

アンナをお気に入りだと公言し、本来側室を伴ってはいけない公務に連れ回しているのもすべてユベールを“保険”として手元に置いておきたいからだ。

「ダミアン様はユベール様の類稀なる才能を恐れていらっしゃると同時に、それを使えれば自分に有利であるともお考えです」

ルミエール最強と言われる王子……その王子が自分に従っていると勘違いしているダミアンは、ユベールをコントロールできると思っている。

「お話を戻しますが、侍女たちの行動も権力争いのうちと申し上げておきましょう」
「どういう、ことですか?」

サラが震える声で問うと、クロヴィスはため息をついて言った。

「侍女たちも、自分たちがのし上がる機会を伺っているということです」

少しばかり声を掛けられたからと、いい気になるバカな女が多いのだ。どこからどう見ても、ただ欲を処理するための“道具”でしかないというのに。

クロヴィスの言葉に、サラは微かに頷いたように見えた。理解した、ということだろうか。
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