ふたり輝くとき
「これからはおそらくアドリーヌ様も貴女を攻撃対象に加えるでしょう。それから、ロラン様とダミアン様にもお気をつけいただきたい」

サラは眩暈がするような気がした。

「アドリーヌさんは、ユベール様の側室になりたいのですよね?」
「ええ、そうです。そしておめでたいことに、ユベール様が彼女に好意を抱いていると思っていらっしゃるようですね」

クロヴィスはそれがアドリーヌの勘違いだと言っているようだけれど、本当にそうなのだろうか。昨夜、ユベールはアドリーヌにかなり親しそうな感じで接していた。

もし……ユベールがアドリーヌを愛していたら、サラのこの城での生活は愛のない結婚生活どころか他の女性を愛する夫との生活になる。

「ロラン様とダミアン様は回りくどいことはせず、直接貴女にお会いになるでしょう。その理由はそれぞれ違うようですが……」

理由――ロランはきっとジャンと同じ。けれど、なぜダミアンまで?

「ダミアン様は、ユベール様とは敵対する意思がないのではなかったのですか?」

サラが問うと、クロヴィスの眼鏡の奥の瞳がスッと細められた。

「ダミアン様の場合は――」
「クロヴィス、喋りすぎだ」

その不機嫌な声に、サラが入り口へと視線を向ける。いつのまにか扉が開いていて、ユベールがそこに背を預けてクロヴィスを睨みつけていた。

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