ふたり輝くとき
「ユベール様、おはようございます。お食事は済まされましたか?」
「ここで食べる」

ユベールはクロヴィスに鋭い視線を向けたままサラの向かいに座った。そして、テーブルの上に置かれたバスケットからパンを手にとって食べ始めた。

元々サラ1人には多すぎる朝食だ。ユベールが食べようが構わないが……

「サラ、どうしてこっちを見ないの?」

見られるわけがない。昨夜、あんなことを言われたというのに、どう接していいのかわからない。

「あ、の……おは、ようございます」

サラは膝に置いた手に視線を貼り付けたまま挨拶をした。ユベールの視線が痛い。

「もう、この城を出て行きたい?あんなちっぽけな嫌がらせも我慢できない?それとも僕が君を何とも思ってないって言ったから?」

サラはギュッと膝の上で両手を握った。

「ユベール様、お戯れが過ぎます」
「うるさい!」

ユベールの大きな声に、サラはビクッと身体を跳ねさせた。

(怖い……)

「ねぇ、サラ。僕が怖い?でも、君はもう僕から逃げられないよ」

それはわかっている。だから、怖いのだ。これからの自分の生活には、どうしても光が見えない。ここは……光り輝く城、光の国の中心のはずなのに。
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