ふたり輝くとき
イライラする。

「ねぇ……僕が優しくしたら、君は僕の思うままになるのかな?」

いや、そもそも自分はサラに何をさせたいのだろうか……

「それとも、僕に溺れさせればいい?そうしたら、言うことを聞いてくれる?」

サラに愛を囁いて、優しく抱きしめて、キスをして……憧れの王子様を演じたらいいのだろうか。でも、それではサラが笑ってしまう。それは、気に食わない。

「ユベール様……貴方は、私に何を求めていらっしゃるのですか?」

サラのその言葉に。

「そんなの、わからないよ」

わからない。とにかく、つまらないのだ。

こういうとき、自分はいつも何をしていたのだろう。こんなにひどく退屈な思いをしたことが今までにあっただろうか。

(退屈……)

そう、そんなときはいつだって……

「わかった。じゃあさ、初夜の続きしよっか?そしたら少しは楽しく――」

その瞬間、パリンとユベールの後ろで窓ガラスが割れた。


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