ふたり輝くとき
「へぇ……」

クスッと笑って振り返ると、サラの部屋の一番大きな窓――バルコニーへの扉にもなっているガラス戸が割れていた。粉々に。

(なるほどね)

やはり、サラはユベールに唯一対抗できる者として城に送り込まれてきたのだ。

サラも同じ。自分のキャパシティを超えた力を植えつけられた、武器。

サラもユベールのように自分でも力をコントロールできていないところがあるらしい。イラついたり興奮したりすると身体から光の気が漏れてしまって、周りの物を壊してしまうのだ。

「やっぱり、君はラストにふさわしい子だね」

窓から視線をサラに戻すと、サラは真っ青になって震えていた。ユベールは思わず息を呑んだ。

「サ、ラ……?」

ユベールがサラに触れようと手を伸ばすと、サラはそれを跳ね除けた。そしてくるりと身体を反転させると“閉まっていた”はずの扉を開けて廊下を駆けていってしまう。

ユベールはそれを呆然と見ていた。

とても、怯えていた。震えて、泣きそうになっていたサラを見て……

(僕は、何を……)

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