ふたり輝くとき
窓の外、サラの視線の先にはだんだんと大きく近づいてくる光るお城がある。

ルミエールの城は、夜になると呪文でライトアップされる。その名の通り光の城だ。

城の門を抜けると、その全体像がだんだんと見えなくなってエントランスの噴水近くで馬車が止まった。

「サラ、行くぞ」
「は、はい」

ジャンに促されてサラは馬車を降りた。そして、彼女の前にサッと現れるその人。

「やぁ、サラ。待ってたよ」
「ユベール様!わざわざ出てこられなくてもこちらから……」

ニッコリと笑ってサラに手を差し出したユベールに、ジャンが慌てたように頭を下げた。

「僕のお嫁さんなんだから、迎えに来て当然でしょ?ほら、行こう」
「あ……は、はい」

サラは戸惑いながらもその大きな手を取った。

茶色の髪は毛先がふわりとくせっ毛で、大きな瞳が印象的。サラより9つ年上のはずだけれど、同い年と言われても信じてしまいそうだ。彼のフランクな話し方がそう感じさせるのだろうか。

けれど、どこか影のある人。サラは少し怖いと思った。

「サラ?どうしたの?」
「あ、ごめんなさい」

……美しすぎるのだ。

思わずじっと見つめてしまい、サラはパッと視線を逸らす。クスッとユベールが笑ったのがわかり、頬が火照った。
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