ふたり輝くとき
地位。

サラはそんなものが欲しくて嫁いできたわけではない。

王子様に憧れていたことも、サラを愛してくれる人が欲しいと思っていたことも、今はもう仕方がないと……一生懸命に言い聞かせているところで。

すべてが理想とは違っていても、せめて、心穏やかに過ごしたかった。それすらも、許してくれない人々。

(どうして……)

サラが何も知らなかったからいけないのだろうか?

そしておそらく、この城にはまだまだサラの知らないことがたくさんある。それらを知っていくたびに、自分はその痛みを我慢しなければならないのだろうか。

誰も、サラを……助けてくれない。

こみ上げてくるものを耐えようと、サラはグッと身体に力を入れた。

アンナはまだ、ユベールの国王の地位やそのために排除しなければならない者たちの話を続けている。

けれど、それはサラの耳にただ“音”として入ってくるだけだった。サラを追い詰めるように音が響いて頭痛がする。それと同時に身体の中心が焼かれるように熱くなっていくのが感じられて……

サラが耐えられなくなる寸前――
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