ふたり輝くとき
「ユベール様、どこに――」
「うるさい」

サラの部屋ともユベールの部屋とも違う方向へと進んでいくユベールに、サラが声を掛けてくるのを遮る。

1階の廊下の奥、いつもサラが使う浴室へと入って鍵を閉めた。

「脱いで」

脱衣所でやっとサラの手首を解放して言うと、サラは目を見開いた。

「な、にを――っ」

ユベールから離れていこうとするサラの身体を引き寄せて、ドレスの背中を弄るとサラが抵抗を強める。

「嫌っ、ユベール様!やめ――きゃっ」

けれど、抵抗するサラを押さえつけながら脱がせるのがすぐに面倒になって、ユベールはサラをそのまま持ち上げた。

「ユベール様!」

浴室の扉を足で乱暴に開き、バラの花びらの浮かんだお湯が張ってある広い浴槽にサラを投げ込むように入れた。水しぶきが上がって、顔を出したサラが咳き込む。

ユベールは自分も浴槽へと入り、逃げようとするサラの身体を引き寄せて唇を塞いだ。

「っ、ゅ……んっ、んんっ」

消したい。自分以外がサラに近づいたという事実を、サラのドレスや髪に纏わりついた匂いを。
< 71 / 273 >

この作品をシェア

pagetop