ふたり輝くとき
“命を絶った”

聞き間違いでなければ、それは……サラの母親、シュゼットは自ら死を選んだということ。

(ど……して?)

シュゼットが自ら命を絶った。それを、ダミアンが知っていて……そしてサラにシュゼットの面影を見ている。

訳がわからない。

「ゃっ――!?」

混乱するサラの首筋に、ダミアンの唇が押し付けられてサラは身を捩った。

気持ち悪い。

ユベールに触れられたときとは違う、心臓の鼓動。

「い、いやっ!おやめください !ダミアン様っ」

サラが大きな声を出したけれど、ダミアンはねっとりとサラの肌に舌を這わせ続ける。それは、首筋から胸元へと徐々に下がっていく。

トン、と軽い衝撃が背中に走ってサラに影が落ちた。サラはガクガクと震えながら、ダミアンを見上げた。

「ジュストが目覚めないのだ……シュゼットが残した、私の跡継ぎが」
「――っ!?」

ジュストが、ダミアンとシュゼットの子?

「もう時間がないのだ。サラ……シュゼットに生き写しのお前に、私の子を産ませよう」

そう言って口角を上げたダミアンの笑顔は狂気。サラは力いっぱいダミアンの身体を跳ね除けた。
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