ふたり輝くとき
しばらくして、サラは涙を止めた。まだ瞳は潤んでいるけれど、なんとか落ち着いたようだ。

「はぁ……それでさ、本題だけど」

ユベールは大げさにため息をついて見せた。サラはコクリと小さく頷く。

「ごめ、なさ……私、お父様のことでっ、呼ばれたと思って……アンナ様はああ言ったけれど、本当に、そんな……っ」
「この城は“そんな”場所なの。まだわからないの?」

大体、本当にサラが思っていたような用件でダミアンがサラを呼び出したとしても、すぐに態度に出るサラでは火に油を注ぐことにしかならない。

「ごめんなさい……」

サラが掠れた声で謝る。

「で、自分が何で呼ばれたのか、さすがに理解したんだよね?」

ユベールが突き放したように言うと、サラはまた小さく頷いた。

「そ。なら、これからは気をつけるんだね。2度目はないと思ってよね。僕も忙しいんだから」
「……っ、ほんと、に?」

サラは少し顔を上げてユベールを見た。

「ジュスト、様が……お母様の、子だって、本当なのですか?」

サラの声が震えている。

なるほど、ダミアンはペラペラと自分の欲を喋ったらしい。
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