ふたり輝くとき
「本当だよ」

その瞬間、サラの頬にまた涙が伝った。今日は本当によく泣く……

「シュゼットは君を産んだ後すぐ、父上に無理矢理後宮に入れられた」

当時、まだ９歳だったユベールもよく覚えている。金色の綺麗な髪に澄んだ青色の瞳の女性が泣きながら助けを求めていた光景を。

ジャンは真っ青になって、ダミアンに引きずられていくシュゼットを見ていた。拳を握り、歯を食いしばって。シュゼットが奥の部屋へ消えた後、涙を流していたことも鮮明に記憶に残っている。

「父上は君を脅しに使った」

ダミアンは自分の気に食わないことがあれば、すぐに暴力に出る――自分に逆らう者は皆殺し。今はユベールが最強と言われているけれど、当時はダミアンに逆らえる力を持つ者などいなかった。

それは、逆らえばサラや他の家族も命はなかったということ。

「要するに、ジャンは妻を生け贄にしたってこと。で、シュゼットはジュストを身ごもった。だけどジュストを産む直前、ちょっと父上が目を離した隙に自殺ってわけ」

サラがギュッと胸元で両手を握った。

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