ふたり輝くとき
熱く自分の肌を滑るユベールの吐息にクラクラする。先ほどダミアンに触れられたときとは違うその感覚は、サラを甘く溶かすようで。

(こんなの、違う……)

こんな風に熱を分け与えるのは、愛し合っている者同士がすることだ。ユベールとサラにそれは当てはまらない。

「ユベール様!」

ユベールがドレスの上からサラの膨らみを撫でてサラは抵抗を強める。けれど、ユベールの背中に貼り付けられた手は動かなくて、それ以外の自由な身体を捩ってもユベールの重みで思うようにならない。

「嫌なら抵抗すればいいよ」

その言葉にサラは一瞬迷って、でも胸元のドレスを引こうとするユベールの気配を感じ取って呪文を唱えた。

「リベ――っ」

けれど、それは許してもらえなかった。ユベールがサラの唇を塞いでしまったから。深く絡んでくるユベールの熱い舌。それは……とても優しくて、ユベールがサラを想ってくれているのではないかと錯覚してしまうほど。

「はっ……」
「僕が許すかは、別の問題だけど?言ったでしょ。逃げるのは許さないって」

息苦しくなった頃、ユベールはようやくサラの唇を解放してくれた。そして、じっと琥珀色の瞳がサラを覗き込む。

「ねぇ、サラ」

そっと、頬に手を添えられて熱のこもった声で名前を呼ばれたら身体が痺れるように動かなくなってしまった。

「大人しくしてて……そうじゃないと、乱暴にするよ」

そう言ったユベールは、クロヴィスが会議の時間だと彼を呼びに来るまでサラを解放してくれなかった――
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