ふたり輝くとき

父と娘

数日後、サラは兵舎の入り口に立っていた。

あれから悩んで、ジャンに会おうと――シュゼットのことを聞こうと――思いきってやってきたけれど、いざその入り口に立ってみると足が震えて動けなかった。

（どうしよう……）

真実はきっとサラの聞いた通りだろう。それでも確かめたくて来たのに、やはり怖くて。

それに、サラはジャンが広い兵舎の中のどこにいるかも知らない。

「サラ様？」

サラが迷っていると、ふいに声を掛けられた。若い何人かの兵が休憩終わりで兵舎へと戻ってきたようで、そのうちの１人が少し前に出てサラを見つめている。

「あ、あの……」
「ジャン元帥に会いに？」

後ろで雑談を続けていた兵たちも興味深げにサラを見ている。サラが頷くと、彼らは顔を見合わせた。

「それなら、俺たちが案内しますよ」
「あ……ありがとうございます」

サラが軽く頭を下げて微笑むと、先頭の青年がサラの腕を掴んだ。

「さ、こっちですよ」

少しばかり強引な、力強く感じるその手は彼らが鍛えられているからなのだろうか。サラは一生懸命に足を動かして彼らについていった。
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