ふたり輝くとき
「何の用だ?」

ロランに案内されて、ジャンの部屋へとやってきたサラは入るなり睨みつけられた。不用意に自分と接触するなということなのだろう。けれど……

「ごめんなさい。でも、お聞きしたいことが、あって……」

サラが途切れ途切れに言うと、ジャンがため息をついて読んで書類を机に置いた。厳しい視線に震えながらも、サラは口を開く。

「お母様の、こと……」
「シュゼットがどうした?」

ジャンの声が一層低くなって、サラはビクッとする。

「ジャン、あんまりサラを怖がらせないで」

ソファに座ったロランが言うと、ジャンがフッと息を吐いた。少しだけ空気が緩む。

「ジュスト様が、ダミアン様と……お母様の子だと伺いました」
「お前、ダミアン様に――!?」

突然、血相を変えたジャンは音を立てて立ち上がり、サラの立っているところまで足早に近づいてきて肩を掴んできた。

「お父様、私は――」
「それで?ジュストはどこにいる?居場所くらいは聞き出したんだろうな!?」

サラは内臓を抉られたような気がした。無理矢理に千切られて、また埋め込まれたような……そんな痛みが全身を駆け巡って意識を保つのもつらい。
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