十騎士
ここは、二つの国の1つである、フィーリング王国。
城下町は活気づいていて、郊外は自然豊かで過ごしやすく、皆が幸せに暮らしていた。
心地よい光が差す、朝方。
一人の少女がゆっくりと重い瞼を開け、ベッドから起き上がる。
彼女が起きたと同時に、部屋の扉の向こうから、いつもの聞き慣れた声が聞こえてきた。
「おい…朝だぞ」
ベッドから降り扉を開けると、そこには黒い服を身に纏った男が立っていた。
幼馴染みのコウだ。
コウは呆れた顔でため息をつく。
「訓練が始まるぞ…早くしないと置いてくからな」
「い、いま着替えるから!ちょっと待ってて!」
彼に言われ、急いで支度する寝癖少女チカは朝が弱いため、毎日こうしてコウに起こしにきてもらっているのだ。