十騎士
急いでクローゼットから服を出し、着替えようとした所でチカはふと手を止め、コウの方を向く。
彼はどうした?と言うように首を横に傾げると、チカは頬を少しピンク色に染めながら言った。
「あ、あのさ…待ってってくれるのは嬉しいんだけどさ…外で…待ってってくれるか…?」
「あ!す、すまん!」
コウも同様に頬を赤らめながら、急いで部屋を出ていく。
しばらくして、身支度をすませた彼女が扉を開け出てくると
チカとコウは互いに顔を見合い
「いこっか!」
「ああ」
言葉を交わし、二人で騎士団の証である勲章を腕に付け訓練場へと足を運ぶのだった。
訓練場へ着くと、純白の鎧姿の女性が中央に立っていた。
騎士団長のミリアだ。
チカたちはこの女性に見習い騎士として、訓練をしてもらっているのだ。
「来たか…よし!ではこれから訓練を始める!」
「はい!」
二人で同時に返事をすると鞘から剣を抜き、ミリアの指示を待つ。
「よし!今日はいよいよ実戦をしてもらおうと思う。お前らはまだ見習いだからな…弱い魔物を用意しておいた。」