A spring blue wind
まだキスまでしかしていないのに、急に大人の階段を登っちゃっていいの?!
そりゃ、初めては陽とって決めていたけど……。
「応援してるからさ!ファイト♪」
夏々の言葉で後押しされた私は、午後から待ち合わせていた場所に向かった。
駅前で待ち合わせていたから、人も多くて、目的の人物が見当たらない。
暫くキョロキョロしていると、ポンと肩を叩かれた。
「ねぇねぇ彼女♪お茶していかない?」
今どき、こんなにも古い口説き文句を言うナンパがいたのか。
断ろうと後ろを振り向くと、それは私が探していた当本人だった。
「陽!」
ジャニーズ顔負けのイケメンップリを振り撒く彼は、通り過ぎる女の子たちの目を引き付ける。
「いたいた。さっきから呼んでるのに、
なかなか気づかずに歩き回るから、
ナンパしてみた」
笑いながら言う陽の目には、私しか映っていない。
あれだけいた人混みの中から見つけ出してくれたことに優越感と嬉しさと、愛しさが込み上げてくる。