A spring blue wind
「でもさっきのは古すぎっ」
「だってしょうがねーじゃん。ナンパとかしたことねーんだから」
陽はこう見えて、めちゃくちゃ真面目で、手を繋ぐときも私より緊張していくらいだ。
陽のこういう所がとても好き。
「で、これからどうする?今日は愛する彼女の誕生日♪バイト代もあるし、何でもどうぞ」
執事のように手を差し伸べる陽。
そして頭のなかで過るさっきの夏々との会話。
ポケットの中には夏々から無理矢理渡されたプレゼントが入っている。
「夕夏?」
ここは、意を決するしかないのか?!
俯く私を心配そうに除き込む陽の手を握り、振り絞った蚊のような声で言った。
「…………陽ん家、行きたい」