タコの事情
[1]あの女を落として




つまんねー事ばかりだ。


どこかに、うまい話はないのかなあ……。










冷たい風が、吹いていた。


「不景気だねー。」


「そんな事言ってないで、客を拾って来いよ!」


誰も居ない店内で、ジグソーパズルをやっていた男は立ち上がる。


「俺に、当たらないでくださいよう。客が来ないのは、店長のせいじゃないすか。」


「うるせー。店長だぞ、わしゃあ。バンビ、余計な口を叩くな。」


「はい、はい、はい、はい。」


このホストクラブの141番ホスト「晩美」は、仕方なく出て行く。








客ひきなんかやっても、無駄だ。こんな狭い町で、店長の悪行は知れ渡っている。


「ケイちゅん。悪いけど、あんたの店には行かないの。あんな騒ぎの後じゃん。」


呼び止めた女は、すげなく断ってくる。


「そう言わないで、来てくれよ。」


「ケイちゃん。店、辞めなよ。そうすれば、行くから。」


「無理、言うなよ。俺、借金あんだぜ。」


「あんな、4股店長の店には、行かないからね。」


店長は、この町のホステス4人と付き合っていたのでした。
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