幼なじみをやめるまで
「そっか……」

全てを聞き終えた時、初めてフゥーっと息を吐いた千裕。
何も言わず、私の頭を撫でてくれている。



「千裕?」

「うん?あのさ、咲はどうしたい?バスケ続けたい?」

「もちろん!だって、バスケやるために高校入ったんだから」


「………」


私へ向ける視線は相変わらず柔らかい。
頭を撫でる手も止まっていない。


だけど、千裕は何かを頭の中で考えている。



「咲、たぶんそれを叶えるのは凄く難しいと思う。
確かに、身長だけで入部を断られたのはショックだけどさ、その基準も分からなくはないんだ――」


「そんな!だって、これから急に背が伸びるかも知れないでしょ?だからそれまで待ってくれたっていいじゃん」


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