幼なじみをやめるまで
今まで聞いたことがない低くて冷たい声にハッと千裕を見る。



まっすぐこっちを見つめるその視線は鋭くて、私を射ぬいてしまうんじゃないかと思う。

背筋がゾクリとする。




怖い




目の前の千裕の顔がぼやけて見える。
目じりからツーッと涙が零れた




「泣くの反則」

「だって……千裕が……」





「だから、それ逆効果なの」


右手を拘束していた手が自由になる。
その手で、私の頬から流れる涙をぬぐう千裕は、さっきまでの怖い顔ではなくなっていた。



「ごめん、怖がらせるつもりはなかった。明日早いから今日はもう寝ろ」

バサリと布団をかぶせて千裕は去って行った。
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