君と、世界の果てで
しょうがないだろ。
こんな美少女に、顔をまじまじと見られて、照れない方がおかしいんだ。
何ともむず痒くなってしまい、コーヒーを淹れようと、その場を離れた。
すると深音は、カウンター席に移動した。
そうか。
よほど、怖かったんだろう。
照れてる場合じゃなかったな。
何とか冷静になり、温かいコーヒーを淹れてやった。
「ほら」
「いただきます」
「何かここに用があったのか?」
「あ、はい。課題を仕上げようと思って……」
「課題?」
深音は、こくりとうなずいて、持ってきた荷物を広げた。
「あたし、服飾の専門学校の1年なんです。
これを明日までに縫わなきゃいけないんですけど。
夜中にミシンを使うと、家族に迷惑なので」
深音は、タータンチェックの布を広げて見せた。
はぁ、なるほど。
やっぱり、陸と同い年か。
そういえば、その辺の事を何も知らなかったな。