君と、世界の果てで
ライブの印象では、強い女だと思ったのに。
ちょっと変わってるけど……意外と普通だな。
知れば知るほど、そう思う。
普通の、女の子。
守りたいと思わせる、存在。
……いやいや!
陸の、彼女だったから。
妹みたいに、思えるだけだ。
「……練習するか」
ベースを弾きはじめると。
合わせるように、二階から歌声とミシンの音が聞こえてきた。
「集中しろよ……」
自分でも。
深音に言ったのか、自分に言ったのか、わからなかった。
しかし、その状態が。
何故か、苦痛ではなかった。